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@ゆりかごから墓場まで@

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庭に子どもが入り込んで遊んでいた

庭に子どもが入り込んで遊んでいた。庭は現実と様子がだいぶ違っていて、多少広いように思えた。1メートルぐらいの低い生垣に囲まれた敷地の一面は芝生で覆われている。何本か低木を植えて道や広場のように整備されているが、すこし歩ける程度で運動できるほどではない。植わっている植物に実が生ってるとか花が綺麗みたいな面白いところはないし、遊具が置いてあるわけでもない。子どもが何を目当てにやって来るかは謎だ。(物が密集していながら秩序の確保された狭い空間に秘密基地的魅力があるのかもしれない、とは思う) どうやら、生垣の隙間から侵入してきているらしかった。
 私は起き抜けで寝間着のままだった。家の中から様子を見ていた。家じゅうの電気はつけていず、窓からの自然光で明かりとりする部屋の中は薄暗い。庭へ通じる掃き出し窓からぼんやりと、レースカーテン越しでは向こう側は白く霞んで見える。
 2つ、影が横切った。男の子が2人、生垣から這い出てきた姿勢そのままで、奥行の半ばあたりを左へ向かって移動した。途中で私の視線に気づいたらしく、一瞬だけ気まずそうにこちらを見たが、逃げるそぶりはなく居座った。さらにもう1人、入ってきた女の子は彼らとは関係がない様子で窓近くの踏み石のところに蝋石で絵を描きはじめる。
 不法侵入だ。私は大声で注意した。閉め切ったガラス戸とカーテンに阻まれているのでそれぐらいの勢いはいる。子どものやることだから見過ごそうとも思ったが、2人から3人へ増えた子どもの数は脅威だった。これ以上たまり場にされるのは迷惑だ……などという気持ちは届かなかったらしく、子どもたちは物おじせずに堂々と遊びつづける。あきらめて遮光カーテンを引いた。
 現実と同じで、庭へ出られる窓は2つある。間取りが隣り合っているリビングと和室の2か所だ。今まではリビング側から見ていた。
 いい加減着替えようと思い、タンスのある和室へ移動する。和室側の窓は手前に置かれた洋服掛けのために1.5メートルほどの距離が塞がれて近づけない状態だ。かなりの量の背広が下がっているので、こちら側からも庭のほうからも様子は見えづらくなっている。窓の障子戸が閉まっているのに安心して、弱い光をたよりにタンスから着替えを取り出す。服を脱ぎはじめたところで、ふと、洋服かけの向こうの窓から風が吹き込んでくるのを感じた。
 明るい。窓の鍵が閉まっていなかった。
 庭に侵入してきたと思われる母子2組が家の中にまで入ってこようとしていた。母親を追い抜いて1番乗りで駆け入ってきた男の子は、得意になって自分の母親になにやら言っている。彼の母親は西洋人の風貌をしていた。もう1人のほうはアジア人風でおしゃれな格好をしていた。2人とも若くて美人だ。
 母親たちは談笑しながら機嫌の良い様子である。どちらかといえば西洋人の親子のほうがためらいなく家に入ってこようとしており、アジア人のほうもさも当然と言う風だった。私が入ってくるなと言ってもお構いなしで、逆に、トイレなどの設備を使わせろと言ってくる。
 和室から廊下までをずいずい進む彼女たちに押されるようにして、すっかり侵入を許してしまった。その勢いのまま、おしゃれな格好をした母親は私の大切なものがしまってある部屋(夢の中の架空の部屋) へ、まったく気遣う様子もなく子どもと一緒に入っていく。そして、当然のようにそこにあるものを使って子どもをあやしはじめたのだった。
 私は西洋人の母親の息子のほうを捕まえてリビング側の窓まで引きずった。カーテンとガラス戸を開け放ち、子どもを庭に放り投げた。芝生の上に仰向けに転がった子どもは何が起こったのか、どうしてこんなことになってしまったのかわからない、という顔をしてこちらを見ていた。


* * *

わたしは悪くないと思うんだ。
でも、最後に投げられた子どもにはわかんねぇだろーなぁ……。

2013年に見た夢のメモ。

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