忍者ブログ

@ゆりかごから墓場まで@

Home > ブログ > > [PR] Home > ブログ > 日常 > 背く山路に思いこそ入れ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

背く山路に思いこそ入れ

……み、みかくにん、ゆーほーくんの、
「空から水がふってきたっほぅ☆」……やべぇ
萌えて死ぬ…… 死ぬッ!



それはいいや。
前の記事にも書いたけれど、友人から教えてもらったフリーゲーム

『冠を持つ神の手』 (配布元のゲーム紹介ページに飛びます)

で昨年12月の頭頃から遊んでいる。

このままだと、だらだら遊び続けそうなので区切りをつけるつもりでプレイメモ的なものを書きつけておく。7年ぐらい前に完成版が配布された世に出て久しい作品と言うこともあり、これまでに築かれてきた伝統的で文化的な既存の作品イメージを破壊するような発言をうっかりするんじゃないか、とやや怖気づいているのですが。

冷静に考えてみれば、たくさんのユーザーを抱えている作品そのものが、たった一人の取るに足らないユーザーによって揺らぐようなことには、まず、ならないでしょう。それも既に完成している作品だし。

……丈夫に舗装された道を踏みしめる人人人混みに紛れて、敷き詰められたブロックタイルの砕けた小さな破片をこっそり蹴飛ばし、誰かの踵に命中させるようないたずらって楽しいよね! 

ああ、きっと周回遅れなことを言ってるだろうな。
恥ずかしいなー……(ブツブツ)




* * *


育成ADVって何だ! 主人公の能力値を上げながら複数いる登場キャラクターのうち狙いを定めてイベントを起こしていきつつ、そのキャラクターのストーリー(そのキャラクター〈ルート〉と言う、のか)を辿っていく……そんな感じのゲームは今まで遊び方がわからなくて苦手意識がありました。

まぬけです。このゲームもクリア後に「キャラなし」と出てきたので、主人公に〇〇キャラみたいな性格分析があてがわれるものかと勘違いしたほどです。そこにはルートを辿ったキャラクターの名前が入るんですね。そして、それを目指し達成することがこのゲームの〈攻略〉だったのですね。知らなかった!

友人の事前情報では、その手のゲームの中でもとくに遊ぶのがたいへんだと聞いていました。主人公に性別がなく、攻略キャラクターは老若男女色々おり、恋愛したり、友情をあたためたり、憎まれたり、殺したり。人間関係の煩雑さをゲームと割り切って楽しみましょう、という意識高い系のおしゃれな遊びが詰まっています。

――だから、きっと遊んでいるうちに

意識高くッ! おしゃれにッ! なれるに違いない! 






現在の攻略状況


約2か月間集中的に遊びました。果たして、わたしは意識高くおしゃれになれたのだろうか? 成果は上記のとおり。実感はない。とりあえず、キャラクター別に特に印象に残ったイベントの雑感と過去の記事(別ブログなど参照)の文章とを比べて、雰囲気になんらかの変化があればステップアップできたってことだよ、きっと。


※ キャラクター名は頭の文字だけ記載
※ 順番は思いついた順



テ もうひとりへの想い

仲立ちをうまくやれてるのか? 暗中模索状態にあって残り日数への焦りから、いよいよ意味のわからない選択をしそうになっているところでの律儀なあいさつが大変励みになりました。


モ お見舞い

どんなときでも何があっても対等に接してくれるし、ブレない。そして、具合が悪いと絵本を持ってきてくれる彼女がわたしは大好きだ!!


タ 選定の印

栗鼠がよかった裏切エンドと迷ったけれど、ここで言ってる発想の仕方が好みなのでその方面で頑張ってたら面白かろうとそんな未来もありそうな友情Cを視野にいれて。ただ、どの立場からも糾弾されそうだし、おおっぴらに出来ないのかなぁ。某方のその後の権威(そういう影響力があるかはわからないけれど)と表現の自由の大切さを考えさせられました。


ル 念押し/ 逃げるその先

選択肢によって演じ分ける彼女の機転と健気さが一層悲しくなってくる「逃げるその先(死亡)」はセットで。そんな無理をしないでも大丈夫な方向にむかっていくルート攻略に尽力する気持ちが高まりました。


ヴ 王座を巡る決闘

仲良くするよりも、馴染まずちっくりちっくり値を増やしていく憎悪ルートとそれ関連のイベントはスリリング。まさにゲーム感覚で楽しめました。その総括「あるはずない!」決闘で勝ったときの達成感たるや。譲歩も理解もしあえずひたすらぶつかり合った結末は誰も悪くないので、いっそ清々しいです。


ユ 殺害A

意識低い、おしゃれじゃない私の頭が悪いこともあり、いまいちよくわからないままにあれよあれよと最後の日になるばかりで。「本当の愛」ってなんだよ、と全く攻略できない苛立ちの勢い余って殺してしまいました。死してなお鷹揚にかまえる彼女に敵う日は来るのだろうか……。いや、待っててくれる! 待っててね!


グ 登場/ 勘違い/ 人違い

攻略する自信がない今の私にはどうしてやることもできず、距離を置いているため、十分吟味してるとはいえないけれど。知らない・わからないことのほのぼのした側面を見せてくれるので、温かい気持ちになれました。たぶん、ほのぼのしていては攻略できないのだと思いますが。


サ 目立たぬ工夫

はじめて攻略したのは彼女の愛情B。プレーヤーの度量がよく表れた結果でした。このイベントに象徴されるようにこの子は賢明な人だから安心だったのでしょう。貴族文化をまったく外から見た意見、また、城の使用人共同体ともある程度距離を置いた身の振り方といい、俯瞰できる位置にいる。そんな彼女となら新しい居場所をつくれそうだ……などと思うように仕組んだ人たちの手のひらの上で転がされていたわけですね。


ロ 見世物芸人

親交が深まったイベントはキュン死にしそうでした。序盤でも見やすいイベントから、たぶんこの方の素の感情が垣間見えるふとした瞬間みたいな。ぷんすか陰口を言う大人げない様子は彼や他のキャラのことを知るほど色んな気持ちにさせられます。


リ 陛下とお昼4/ 王の耳/ 父と名乗る男

政治と恋愛、庇護と支配がもつれ絡まり招来する憂きことは源氏物語にも描かれているけれど、それを他人事に見たときの文学的面白味はふり捨てがたいことだわよ。陛下だって面白がっていないわけがない。


ト 自由というもの

マーク・トウェインもハックルベリー・フィンも大好きなので「物乞い」一択で答えているのは考えるのが面倒臭いからじゃないんだからねっ! たぶん、一番最初にこの人の愛情Aをやってたら、そこで満足して終了していたと思う。






ゲーム攻略を目指して主人公を動かしてる時はともかく、本来おしゃれでもなければ意識高くもないので、私はきっとこんな状況におかれたら無理矢理巻き込まれてしまった境遇にうんざりなるに違いない。

逃げたい!

という気持ちはゲームに反映させられるのだろうか。

今のところ見れているイベントでは、ルージョン関係だと共に生きるか、殺すか、死ぬかで逃げられないし。トッズ愛情Aだと≪トッズに嫁をもたらし彼の運命を左右する神≫になった気分で、プレーヤーとして脱出の達成感は得られなかったし(むしろ、私の手元から超かわいい主人公ちゃんを旅立たせる寂しい気持ちになったよ……)。どうやら、ヴァイル憎悪系イベントの「城抜け手伝い」で逃げられそうな雰囲気があるから、そこに希望を見出してもいいのだろうか? ネットで情報探せばあるんだろうけれど、見ないよ。


自分のために、自分の意思で実現する、自分だけの逃亡

を目指している。
とはいえ、「一緒に逃げよう」展開は浪漫だよなぁー。

まったく。柏木くん(『源氏物語』 若菜下)


さかしく思ひしづむる心も失せて、いづちもいづちも率て隠したてまつりて、わが身も世に経るさまならず、跡絶えて止みなばやとまで思ひ乱れ 意訳(私): 妄想が止まらない! 彼女をどこかへ連れ去って、皇女の身分を隠し、自分も姿を変えて、行方をくらましてしまいたい! などと思い乱れ [本文 『新編日本古典文学全集』]


たんなら、難しいだろうけれど、それ相応の意思疎通を図ったうえで実行すればよかったのに。――そんな煮え切らない気持ちが向田邦子の心を動かしたかどうかは知らないけれど、ドラマ脚本は今後のことについて具体的に思いの丈を喋らせる。


柏木「――あなたをさらって逃げたい。家を捨て、出世も捨てて、あなたと山の中で暮らしたい。木樵をしても猟師をしてもあなたを飢えさせはしない。夜、月の光でわたしは、あなた一人のために笛を吹く」 注: 柏木は出世を目論見、高貴な嫁を得ようとその父親である朱雀帝の目にとまるため笛の稽古をしていたんだけど、方便がマジな恋情になっていた。ということをこれより前の台詞で告白している。柏木は笛の名手。 [向田邦子『源氏物語・となりの女』]


流石に女三宮もなびいたね。


……そう!
 
なびいてもいない相手にそんなことをしたってお互い損をするだけだもの。

もとの話では、女三宮は柏木になびかない。どうとってもストーカーがレイプ犯になり、その被害者にもかかわらず自己責任と言われる踏んだり蹴ったりで、彼女に柏木への愛が生まれるわけがない。彼の恋情に対しては、死に急ぐ気持ちを(死体となった)わが身を燃やした煙の勢いで比べましょう、と現世での絶望から逃れるための死にたさを競うライバル宣言を返したきりだ。光源氏の怒りを買って2人とも散々な目をみる。

恋愛でなくても、バトルマンガの敵対関係でだって――崩落しつつある城から脱出しなければならない状況で、主人公・技々みみみの救いの手に抵抗はしないものの、技神まーは拒否の態度を示していた。そして共々瓦礫に埋もれてしまう。みみみは彼の生き様を「なさけない」と否定し、打ち負かしたのだからそうもなるでしょう。悪役とはいえ、まーさまにだってプライドはあるよ。[曽山一寿『わざぼー』6巻]


  "All right, then, I'll go to hell” (そんなら地獄へ行ってやろう)


はハックルベリー・フィンの独り言だけれど。奴隷の逃亡介助の罪を着る決心を奮い立たせるために、〈自分だけで〉そう言うのは簡単だ。でも、〈一緒に〉なんてのは、互いに協力的で、目的を成し遂げる工夫がなくてはできないことだよ! とても大変なことなんだよ! そんな苦労をするぐらいなら一人で逃げるよ!


(どんだけ逃げる話好きなんだ)



というわけなので、タナッセ愛情の展開がなかなか腑に落ちない。主人公もよくそこで思いきったし、タナッセは(日数にして)1カ月の間なにしてたし。モルはずっとそこにいるし。天の目のプレーヤー(私)だけが、その場にいないキモチ。……生霊、飛ばしちゃうゾ!

お話を読むことに集中していたので、ゲームとして楽しめていたか? まあ、話を読むためにゲームを楽しむという発想もあるだろうけれど、そうじゃない。読みとれる意味を無視した遊びができるようになりたい。

決闘を口実に邪魔者を消すぞー! みたいにプレーヤーの勝手な目的だけに埋没した楽しみかたがあんまり出来なかったあたり、まだまだ習練が足りてない。

こんなダサいままでは、仲良くなったタナッセは刺せない。サニャちゃんをいびることもできない。ユリリエに最後の裏切りなんてもっての他だ。なーんの理由もなく、その物語の登場人物として絶対の存在意義をもつゲームの中の人を、その文脈の中にいるわけでもないプレーヤー(≠主人公)の分際で否定するのは難しい。それ相応の理由を胸に抱える意識の高さが足りてない! と反省して、またしばらく遊べるのが楽しみだ。

最後に、今のところ一番楽しかったのは、刺しに来たティントアを振り切り、老魔女を討伐し、ルージョンも殺し、最後にその主人公はどうなったかな? っていう何段落ちだよ! みたいな双子と憎み合った最後の日~エンディングでした。


世間的には今さら感あるかもしれないけれど、
色々な遊びが詰まったゲームでした。やってよかった!


拍手

PR

Comment0 Comment

Comment Form

  • お名前name
  • タイトルtitle
  • メールアドレスmail address
  • URLurl
  • コメントcomment
  • パスワードpassword