2016/09/15 Category : 創作*詩*小説 すっからかん! 「きれい好き」落っこちていた箱の中身は 誰かが集めた たからものこれ これは こ これはコ・レ・ク・ショ・ン・ボッ・クスだって 蓋に書いてあるものすごいな きれいな 宝石みたいざらざら 色々 ガラスの破片に考古学的な想像力が刺激されまるで 専門家きどりで頭の中で ころころ転がしてみたよ―― あれあれこれって こわれもの単なる割れたガラスじゃない?ショック 世紀の大発見コレハゴミデス! ゴミバコデス!持ち主のチグハグさを貼り合わせることはできなくて形をなさない 雑な手仕事無意味で役立たずの世間の邪魔者こんなゴミばっかりをさも素晴らしいもののように箱に納めているなんてあたまがおかしいんじゃないの?箱を人目につくところに置いたらみんなで楽しい品評会 「これはゴミ箱です」 「おかしな いらない ゴミばかり」 「ほんとに ゴミしかはいってない」 「ゴミを集めたやつはおかしい」 「いらない ゴミのようなやつだ」落っこちていた箱の中身は 誰かが集めた たからものこれは これは コレクションボックスだって蓋に書いてあるものそれでも みんなは口々に「ゴミ箱」 と言って笑うのでやはり つまらない箱だったのだろう と専門家きどりで 断言してみる結論は――コレクションはただのゴミであり有意のものとは言い難く ゆえに箱の持ち主はくだらない人物である一方であらゆる手を尽くした 私自身の豊かな想像力は評価すべきだ されるべきだ(貼り合わせることはできなくて(形をなさない 雑な手仕事(無意味で 役立たずの ・・・それはいったい誰のこと?なにをおっしゃる! わたしはゴミは集めませんベストセラーの日用品を箱に詰めて重宝してます生活の知恵 無駄のなさ 理にかなった快適さ絶対満足の品ぞろえそれらは確実に使い切ってしまうので箱の中身はいつでも 空っぽになるというわけですわたしは とっても きれい好きだから割れたガラスの破片が きらりと光っていても絶対たからものなんかにしないんだからね! =手直し前のやつ= PR
2016/03/05 Category : 創作*詩*小説 センテンスしかない 手紙を書いてみよう 切れ目はいらないよ つなげてつづったら 片端から数えていく ABCDEFGHI JKLMNOPQR STUVWXYZ… いくつずつあるかな そこから選り分けて これから向かう場所 住所を見つけなきゃ ゆくえがわからない まいごになったかもかなしくなってきた 時間が追ってきたら 死ぬのがこわいから 逃げ道はどこにある 抜け道はそこにある 近道はここらあたり なければ作ればいい パラグラフの裂け目 モーゼのみたように 手紙を書いてみよう センテンスしかない *センテンスしかない 手紙を書いてみよう モーゼのみたように パラグラフの裂け目 なければ作ればいい 近道はここらあたり 抜け道はそこにある 逃げ道はどこにある 死ぬのがこわいから 時間が追ってきたら かなしくなってきたまいごになったかも ゆくえがわからない 住所を見つけなきゃ これから向かう場所 そこから選り分けて いくつずつあるかな …ZYXWVUTS RQPONMLKJ IGHFEDCBA 片端から数えていく つなげてつずったら 切れ目はいらないよ 手紙を書いてみよう =解説=
2015/10/21 Category : 創作*詩*小説 クリエイティブな鳥 つぎはぎのカラスのあだ名ボロ雑巾ボロ雑巾は踏まれても 飛び散るのは誰かの羽とりどりに色々のものだから、ボロ雑巾は痛くもかゆくもないのですいちばん美しい鳥はボロ雑巾である――そのとおり!地に這う者が 天上よりも高いところを飛ぶのですそうすれば、星々は磨かれ輝き夜を楽しいものにするのです(暗闇はカラスのために多くの鳥を殺します)だから、ボロ雑巾が給食の時間ふいに湧きこぼれた吐瀉物にふんわりとおおい被されるような屈辱を受けたとしても心を痛める必要はありません教室は悲鳴で充満します「誰が、このボロ雑巾を片付けるのか?」とボロ雑巾は飛び上がって、誰にも等しい苦難をまき散らしますとりどりの羽に彩られた美しい鳥ああ ボロ雑巾よ泥濘の泥をすすれそうして重くなったお前を搾りブリキバケツに溜った一滴の血もあまさず下水に流そうおいしくクリアでからだによい水を飲みたい私たちのために……!
2015/04/12 Category : 創作*詩*小説 まわりくどい“馬鹿”(未完) ある知人に「死ね」とメールで送りつけたくなった。全人類死ねばいいとさえ思う。誰でもいいから「死ね」と叫びたい。けれど、とっさに思い浮かんだのはその人だけだった。そいつに「死ね」と言えれば満足できる気がした。その人に対して後ろめたさとともに不満が生じるような思い出があった。その時の嫌な気持ちを忘れたかったから、「死ね」と言いたい。もちろん、他人にこんなことを相談すれば「あとで後悔するだけ」とか「そんなことをしても気が晴れるはずかない」という“思いやり” を込めた助言をされるだろう。間違いのない一般論を工夫もなく心に響かない口ぶりで言われるに違いない。反社会的な発言にチャンスを得て“常識的な良い人アピール” をしようという魂胆じゃないかと疑わしく、全く信用ならない。だから、他の誰にもわたしの計画を教えたくない。そうやって、誰かの意見を発表する機会にされてはたまらない。機会なんて自分で作ればいいじゃないか。そりゃ、なんの脈絡もなく突然「人の心を思いやろう」「思想は自由だ」「人々は平等なのだ」などと叫ぶ奴がいたら、どうかしてるとしか思えないだろうね。<死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……> と連続して書くのには意図がある。恐怖を煽ろうとか、不気味な印象を与えようとか。文字数を重ねた労力に感動してほしいところだ。しかし、手段としては幼稚すぎる。もっと効果的かつ知的で相手に好印象を与えるような素敵なやり方はないだろうか。「夜道に気をつけて(意訳:死ね)」「よい夢を(意訳:死ね)」「いつかあの星につれていってあげるよ(意訳:死ね)」遠まわしに言えば格好がつくというものでもない。そもそも、「死ね」と言われて気分がいいはずないじゃないか。
2015/04/11 Category : 創作*詩*小説 波動 塔の向こうに町が見みえるでしょう鳥が教えてくれました私 見たわ 遠くの遠くあなたが あなたが あなたがあああああああああ私が見ていた遠くの遠くにあなたが見ていた鳥がいたんです鳥は町を見下ろしていたの港に見える塔の向こうからあなたのことを私 見ていた鳥の目になれば町が見通せるの塔のてっぺん 屋根に止まってあなたを あなたを あなたをおおおおおおおおおそうよ 嵐がやってきた港に波が被さって塔にも波が被さって町にも波が被さってあなたは波に飲まれていって鳥は 空から あなたを 見ていた雨に打たれて 止まり木もなく飛び続けたらば海に落ちたの私が見るのは遠くの遠く塔が見えるの港が見えるの町が見えるのあなたが見えるの私に鳥は見えませんだって そこに鳥はいないんですもの